*** 蜃 気 録 ***

無線局「JJ2AVH/ぎふBK44」の浮遊記録

新型アンテナ試作 名前はまだない

これまでの移動用のアンテナは、クルマ移動用に6エレ・5エレ八木、担ぎ上げ用に3エレ八木・2/3λヘンテナ、というラインナップとなっている。

ヘンテナが思いのほかうまく仕上がったので、これを発展させて何か面白いものができないかとMMANAで遊んでいたら、できちゃった。

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実のところこれは独自のアイディアではなく、JL2OGF局とのやりとりからヒントをもらったものなのだ。内容は、「スケルトンスロットのループ部分をスカイドアにしたらどうなる?」というもの。

試しにシミュレーションをしたところ、「エレメントを増やせばゲインは上がるが八木のスタックよりもメリットは感じられないのでは?」という結果になった。エレメントが増えると給電部がブームの後ろになり、構造的に難しいのは火を見るよりも明らか。その話はそれで終わり。

一方、ひょんなことからSOTAを意識して山歩き移動に力を入れ始め、山頂でも上げられるアンテナが必要になってヘンテナを作った。なにしろSOTA対象の山は見晴らしの良い山頂ばかりでは決してない。木の枝が邪魔して3エレですら難儀してしまう。幅1mのヘンテナはダイポールよりも有利なのだ。

材料と構造を吟味すれば軽量に仕上がり、多くを望まなければとても具合の良いアンテナだと思う。フロントゲインは2/3λタイプは5.8Biであり、2エHB9CVとそんなに変わらない。

 

とここで、例のスケルトンスロットを思い出した。スカイドアが二段になった形状だからゲインの増え方がより大きいのではないか?

軽い気持ちで反射エレメントを並べてみた。はじめは一番上と一番下に。割と簡単にゲインは増えたが、電流分布を見て「おや?」もしかして給電部の後ろにも置いたらどうなる?

すると、ゲインはもちろんビームパターンが劇的に改善するではないですか。

ひょっとして、大発見??

いやそれは思い上がりだろう。ヘンテナは実にたくさんの先輩方によって育てられた正真正銘のニッポン代表。多エレメントのヘンテナも実用化されているし、知られていないだけでこっそり使われていたに違いない。

 

さて、このケッタイなアンテナのメリットは果たしてあるのだろうか。

エレメント、ブームなど全部並べると、4エレの八木と同じぐらいのパーツになる。重量は2㎏となった。回転半径は明らかに小さいのでその辺は有利。

ついでなのでブーム長3.2mの4エレ八木と比較してみた。

まずは新ヘンテナ。地上高6mの結果。

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続いて4エレ八木。

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ヘンテナのほうがビームパターンがきれいに見える。

ただ、フロントゲインは双方自由空間では同じ9.52dBiだったのに、6m高では4エレのほうが上回っている。この辺は謎。

 

さてさて、長々と能書きを並べたわけなのだが、本日ようやく形にすることができた。試作零号機なので名前はまだない。

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ヘンテナ部分の縦のエレメントはオリジナルと変えていない。伸びたのかな?

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エレメントを支えているのは山歩き用の5.3mの伸縮ポール+19φのアルミパイプ。この写真は、さらに下段に39φのポールを追加している。

こうしてみると、「カーテンビーム」に似ている。ツイッターでは何度も「変態アンテナ」なんて言ってるが、いうほど変態ではないのかもしれない。

 

明日、どこかに移動して実戦デビューさせようと思っている。