ヘンテナのビーム化奮闘記その2
2エレが形になったので当然次は3エレさらに4エレでしょう。
ただ、使用目的ははっきりさせねばならぬ。
このアンテナの一番の利点は「回転半径が小さい」ということ。
6エレでは木の枝など障害物が引っかかって難儀することが多い。
これを解決できれば移動先の選択肢が広がるというもの。
「ならば4エレ八木をスタックにすれば?」
おっとそれを言っちゃあおしまいよ!
そういう立ち位置のアンテナなのだ。ロマン枠。これは大前提なのだ。
ロマン枠と言っても移動運用専用機として使えないようでは困る。
現場で一人で立ち上げられないような構造では意味がないのだ。
問題になるのはヘンテナ部の位置である。エレメントが増えるとブームの後方に移動してマストから遠くなる。上下のブームが風などでたわむと縦のエレメントが引っ張られるのは自明であり、最悪切れてしまう。なので4エレまでが現実的のように思う。
そうして3.4エレでいくつかのモデルができた。
① 3エレ ブーム長:2.6m フロントゲイン:10.3dBi FB比:22dB
② 3エレ ブーム長:3.05m フロントゲイン:10.46dBi FB比:18dB
③ 4エレ ブーム長:3.3m フロントゲイン:11.2dBi FB比:18dB
④ 4エレ ブーム長:3.9m フロントゲイン:11.4dBi FB比:20dB
⑤ 4エレ ブーム長:3.9m フロントゲイン:11.5dBi FB比:17dB
①と④はヘンテナ部の給電位置がノーマル、②③⑤は逆さまタイプ。
いろいろシミュレーションしてわかったことは、
・②と③の関係性に注目。ゲインを増やすにはエレメントを追加するかブームを伸ばすか、見極めが重要となる。
・逆さまタイプは2エレと同様バンド幅は広いがFB比が悪い。
・ノーマルタイプの長所であるFB比は、ブームを伸ばすと悪化する。
諸々考慮した結果、⑤を採用した。フロントゲインと帯域を優先とした。
材料を用意する。エレメントは昨年まで固定で使用していたNAGARA製のものがある。ブームは車庫にある様々な長さ太さのものから見繕ったがどうしても2本目がそろわなかったのでホームセンターでアルミ製伸縮物干し竿を購入。
ワイヤーエレメントはダイポールとして使っていた2.0SQの切れ端があった。
休日にチマチマと工作を続けてどうにか形になり、7月2日に近所の林道に工具類など持ち込んで組み立てながら調整を行ったのであった。
ところが。
調整が終わって下して片付けようとしたところ、上下のブームの長さが違っていたことが発覚!
なんでこうなった?
これは、「クルマの屋根3.3m問題」とでも言いましょうか。
軽自動車のルーフキャリアに載せて運ぶ関係上、アンテナの仕舞寸法は3.3以内に収める必要があり、今回の4mブームは縮めて運搬し現地で伸ばすという構造にしていたのだが、なぜか下のブームを伸ばし忘れて気づかずに3.3mのまま調整していたということであった。何やってんの。
貴重な時間が無駄になったではないか。
ここで考えた。
失敗しないように気を付けるのは当然なのだが。
やはり、現場での組み立てを簡略化すれば間違いが減るのではないかと。
ブームを3.3mジャストにすれば組み立ての工程が一つ減るではないかと。
あと、調整のため何度もアンテナを上げ下げして思ったこと。
やっぱり重い。4~5エレの八木を2本いっぺんに上げ下げするのと同じだからそりゃ重いわ。
以上のことから作り直し決定。
そもそもエレメントが重い。ブームも軽くしたい。
材料が必要だ。軽いエレメント、軽いブーム・・
となるとアレしかない。
「10年使ってきた軽量の5エレよ。君はすばらしいアンテナだった。今までありがとう。君のことは忘れないよ・・」
こうしてできあがったのが今回のBeamHENTTENA 4x2なのであった。
調整は意外とすんなりできた。これまではワイヤーの長さを変えることが多かったが今回はショートバー位置を1cm上げるだけで済んだ。
SWR帯域は上記よりもうんと広く、ボトムは50.3MHzで1.01、51.3MHzまで1.5以内になっている。
あと残っている課題は下ブームのクロスマウント。今度の連休に完成させていよいよデビューさせる予定。結果はまた後日!
ヘンテナのビーム化奮闘記その1
このブログも放置されて随分経っているが、ネタができたので書き込むことにした。
この3年取り組んできた新型アンテナの組み立てと調整を本日雨が断続的に降る中敢行、やっとある程度形になったのでちょっとまとめてみた。
命名「BeamHENTENA 4x2」
ヘンテナにダイポール型パラスティックエレメントを配置してビーム化し高ゲインを得ようというコンセプトである。昔流行した多エレメントスケルトンスロットと結果的によく似た外観となった。
※ここから長いです※
2年前、こんなアンテナを思いついたのが事の始まりだった。
https://lurie.hatenablog.com/entry/2021/02/20/212414
まずはシミュレーションどおりに動くことが確認できて感動であったが、なにしろ縦に長すぎて設営するのが大変であった。それで凄い性能ならまだしも、4エレ相当では他のアンテナを差し置いて使い続けるほどでもなく、ちゃんとした名前を付ける前にひっそりと消えることに・・
しかしこれで終わったわけではない。
翌年、今度はラジエターエレメントをSKYDOORに置き換えたモデルを投入する。
図は地上高4.5mの値。自由空間のフロントゲインは50.2MHzにおいて8.5dBiであった。
これはループの縦の長さが2m強で、移動先でも扱える大きさなので山頂移動に使用した。名前も「SDY2x2」と名付けた。Sky Door Yagi 2エレ2段という意味で。
〇〇エレとするとキュビカルクワッドみたいにループの数を連想してしまうから。
なお何故名前にこだわるのかというと、交信相手から訊かれた時に困るからだが、「SDY2x2です」と言ったところでやはり一発では伝わらないのであった。この辺を解決するにはCQ誌に載せるなどして宣伝するのが良いがそんな勇気はない。
飛びのほうは・・計算では3エレと同等だが、正直わからない。瑞浪市の本陣山では多くの局と交信できたし1エリア固定局ともSSBで59/59でできているがこれはロケーションのおかげかもしれない。主にSOTAで今後も活躍してもらうつもりであった。
でもでも、エレメントを増やして高ゲイン化を目指したいという欲求は消えずチマチマとシミュレーションを繰り返す日々。最終的な目標は、現在の移動用主力機である6エレの代わりが務まるものであること。それには性能だけではなく移動先で安全速やかに組み立てられることが重要な課題であるのだ。
これまでの2/3λヘンテナやSKYDOORでは、ダイポール型パラスティックエレメントを増やすとゲインは増えるもののインピーダンスが下がりすぎてマッチング回路が必要になり、なんか面白くない。
と、ここでようやくヘンテナが登場するのである。長かった。
いや、この書き方は正確ではないか。
「ヘンテナベースなら多エレメントでもマッチングが容易であるという事実がわかった」のだ。
これは重要な発見である。
最初から知ってたわけではない。こんな経緯からである。
今年もSDYを持って山に登るつもりでいたのだが、もうちょっとゲインを稼げないものか?と考え、改めて基本形のヘンテナをベースにしてシミュレーションを始めた。
いや、ずっと以前にヘンテナベースはいろいろやってみたのだけど、給電部の構造がネックで放置していたのだ。今回それを度外視してシミュレーションをしてみたところ、ややインピーダンスが高いもののSDYよりもゲインの高いモデルができた。
さて、ここで「このタイプのアンテナは前例があるのか?」という疑問がまたしても頭をよぎる。これまでも何度もネット検索してきたのだけど出てこない。
それで、キーワードを変えてHENTENANA+reflectorで検索。
すると出てきた!
やっぱり海外の人も同じことしてる!こういう情報を待っていた。
見てみると、数値が微妙に違う。幅が狭いのだ。これがヒントになった。
インピーダンスを下げるにはループの外周を小さくすればよく、あとは給電エレメントをスライドさせればマッチングが取れる。これならエレメントが多くなっても行けそうだ。これは勇気が出てきた。
しかし、給電部がループの中にある構造はやはり問題。縦のエレメントがソリッドなパイプなら宙に浮く形でも強度的に問題ないけど、こちらは移動運用で使うからできるだけ軽くしたいし組み立ての面でも縦のエレメントはワイヤーにしたい。
そこで閃いたのが「逆さまヘンテナ」
三本の水平エレメントのうち、給電エレメントを最下部に持ってくることで、上部のエレメントをショートバーとするスタイルである。
今までたくさんヘンテナを作ってきたけどこのタイプは初めてである。
シミュレーションをして上記のリンクのタイプ(こちらで最適化)と比較したところ、面白いことがわかった。
・ブームがノーマルより長くなる:長くしないとインピーダンスが下がらない
・FB比が若干悪い
・SWRのバンド幅が広い
ここは製作しやすさと再現性の点で「逆さまヘンテナ」を採用!
この春から実戦配備をしている。
これも性能評価はよくわからないが、まあ使えているのではないかと。
さて、前述のとおり多エレメント化へと希望が出てきて計画は進行する。
しかしこの後の展開はまだまだ続くので次回・・・
9月の無線活動まとめ
9/5 瑞浪市に移動。大湫の稲荷神社にて。
IC-705+50W TSRヘンテナでしたが、1エリア方面は全然ダメでした。
SSB FT8合わせて57QSO 。
中山道大湫宿も少し見てきました。
倒れてしまった大杉も…
9/19 SOTA JA/GF-025 鷲ヶ岳に登りました。
IC-705 3エレ 10W運用でした。どういうわけかマイクに音声が乗らず、仕方なくFT8のみ。
40QSOでした。
なんと、3エリアの同業者と偶然アイボール!
しかも、Twitterのフォロワーさんでした😅
マイクの不調は、音声入力の設定が変わっていたことが原因でした。なぜ変わったのかは不明。
モヤモヤする~
9/25 SOTA JA/GF-038 飛騨市の猪臥山へ。
30数年ぶりです。なお三角点のある山頂は高山市であり、今回は飛騨市で出たかったので祠の近くにアンテナを立てました。
さすがに飛騨高地の真ん中というロケーションでは3エレでは力不足は否めず。9局交信で終わりました。
帰りは古川町経由でせせらぎ街道。快適でした。いい感じの廃校からの公民館がありました。
もう秋なので6mは静か。数を稼ぐのは場所を選ばないと難しいかな。
JJ2AVH/2 恵那市笠置山
早起きして、少し遠くの標高のある山に登るつもりだったが、急に朝から来客の予定が入って方針転換を余儀なくされた。
かなり途方に暮れてしまう。
9時出発とはモチベーションが下がる。
そこで考えを変えた。目的をSOTAポイント稼ぎにシフトし、手軽に登れる山にしよう。浮かんだのが笠置山。SOTA JA/GF-107だ。
車で行けるポイントは何度も行っているが、そういえば山頂からは長いこと出ていない。
そうして11時に駐車場に到着。
ものの10分で山頂へ。
山頂には立派なお社がある。拝殿広場には恐れ多くてアンテナを立てられないので手前にひっそりとヘンテナを上げた。リグは、久しぶりにFT-817ND+HL66V改の30W運用。
今日はPCを持参していないのでSSBのみ。
天気はもうひとつ。前日の夕立ちの名残で湿気が多い。そのせいかブユが凄い。顔面総攻撃だ。
一度、QSO中に息を吸ったタイミングでブユを吸いこみ咳き込んでしまった。明らかに気管支に引っかかったのを感じたがどうにか吐き出す。まったく参る。
午後からは青空が広がった。しかし2時になり、撤収。1.2.3.5エリアの22QSOでありました。局数は少ないが、SOTAアクティベートは出来たのでまあ良し。
高知県四万十市のJH5JEO局は先日の可児郡御嵩町に続いてお声掛けいただいた。こんなふうに距離のある所と交信できると思い出に残ります。
次回は、今日行けなかった「あの山」に登って1エリアとバンバン交信してやるぞ!
海に行ってみました。
最後に県外に出たのは2月。そういえばお隣の福井にさえ行ってない。
無線活動ばかりやってきたのでここらで潮風に当たるべき、という内なる声に突き動かされて深夜2時半に家を出た。
福井市内でエサを調達しようとするが、昨今の事情で営業日時間が変わっていた。つまり開店前!
仕方なく別の店に向かう。
回り道だ。
そうしていつもの御料場に6時前に到着。
出遅れたかなぁ、もう何年も使っているタックルにワームセットして投げてみる。
お?一投目からバイトあり。
そして一匹目のカサゴは23センチ級。
なかなか良いスタートに気をよくするが、次のアタリで合わせをためらって根に潜られロスト。時間もロストだ。
しかしジアイは続く。同じサイズを追加し、さらに一ランク上の強引で尺クラスのカサゴ登場!
こっこれはまれに見る当たりの日?
この勢いでキジハタは…
現れませんでした。
ワームの時間はこれで終わり。
引き続き、エサ釣りのちょい投げに移行します。
場所を変えて一投目。いきなり突っ走るアタリ!
24センチ級のキスが出ました。
その後もプチ連チャンで良型が続く。
うーむ、なんだ今日は…悪いことの前兆じゃないだろうな!?
心配ご無用、30分もするとピンギスがポツポツといういつものペースに戻りました。
ところでクーラーボックスが気になってしょうがない。何しろ真夏の日差しなのだ。氷も心許ない。
そして腹減った。実は湯を沸かしてカップ麺作るつもりが、水を忘れるという失態で腹ペコなのだ。
ここはいい感じで終わりたいという内なる声に突き動かされ(デジャヴ)、予定よりもうんと早い時間に終了。
実質2時間半の釣り。我ながら潔いではないか。
結果。
カサゴ:22~29cm 3匹。
キス:24cmを頭に13匹。
魚種は違うのに活性はとても高かった。いつもはどちらかがコケるのだが両方当たりは珍しい。
海の神様に優しくしてもらいました。
JJ2AVH/2 可児郡御嵩町
0615 自宅発
0800 現地着
0850 オンエア開始
ここは昨年9月に移動運用している。
夏も近いし、標高の高い所へ行きたいのが本音であるけれど、これまでの経験でEスポが発生しやすいこの時期はかえって標高の低い場所が良いのではないかということでここにした。
今日はなるべくデジタルモードに走らないように、SSB中心で行くと決めてアンテナを東に向けてCQを出す。
しかし1エリアはさっぱり。
もしかして西方向ですスキャッターが出てるかも、と南西に向けてみる。
すると立て続けに3や5エリアに呼ばれる。高知の四万十市の固定局もできてニンマリだが、スマホを見て予想通りクラスタに載ったせいだとわかった。
で。
その後結局、FT8に切り替えたのでした。
(・ω・)
SSBではEスポらしき様子はなかったが、大陸が弱く開いている。
QSOは国内中心で、大混雑はしていないので50313でCQを出す。そしてやはりそこそこ切れ目無く呼ばれる。
今日もまた、FT8中心となりました。(^ ^;)
昼になったのでおにぎりなど食べる。この時点で計50局ぐらい、そろそろ帰りの事を考えはじめ、なにか凄く眠くなって気を失うように爆睡。
目覚めてから撤収しようと思ったが、Eスポを期待して当てが外れた各局がたくさん出てきたようで、もうひと頑張りすることに。
特に今頃になって1エリアが開いてきた。Twitterでのフォロワーさんとも何局かつながった。
15時、ようやく静かになってきたので今度こそ撤収。
結果。SSB:27 FT8:41 FT4:2
計70局。
おおー、まずまずたくさん出来ましたよ、ここ数年では。
Eスポが出なかったから、とも言えますけど?
でも今回の場所選択は間違っていなかったかな。
出来れば、クラシックモードで1エリアからパイルを受けたいところ。それには、時期と場所の選択が大事だろうなー。具体的には、Eスポが落ち着いた頃に標高が高い場所で狙い撃つとか。
いくつか候補があるのでそのうちやりますよ。