ヘンテナのビーム化奮闘記その1
このブログも放置されて随分経っているが、ネタができたので書き込むことにした。
この3年取り組んできた新型アンテナの組み立てと調整を本日雨が断続的に降る中敢行、やっとある程度形になったのでちょっとまとめてみた。
命名「BeamHENTENA 4x2」
ヘンテナにダイポール型パラスティックエレメントを配置してビーム化し高ゲインを得ようというコンセプトである。昔流行した多エレメントスケルトンスロットと結果的によく似た外観となった。
※ここから長いです※
2年前、こんなアンテナを思いついたのが事の始まりだった。
https://lurie.hatenablog.com/entry/2021/02/20/212414
まずはシミュレーションどおりに動くことが確認できて感動であったが、なにしろ縦に長すぎて設営するのが大変であった。それで凄い性能ならまだしも、4エレ相当では他のアンテナを差し置いて使い続けるほどでもなく、ちゃんとした名前を付ける前にひっそりと消えることに・・
しかしこれで終わったわけではない。
翌年、今度はラジエターエレメントをSKYDOORに置き換えたモデルを投入する。
図は地上高4.5mの値。自由空間のフロントゲインは50.2MHzにおいて8.5dBiであった。
これはループの縦の長さが2m強で、移動先でも扱える大きさなので山頂移動に使用した。名前も「SDY2x2」と名付けた。Sky Door Yagi 2エレ2段という意味で。
〇〇エレとするとキュビカルクワッドみたいにループの数を連想してしまうから。
なお何故名前にこだわるのかというと、交信相手から訊かれた時に困るからだが、「SDY2x2です」と言ったところでやはり一発では伝わらないのであった。この辺を解決するにはCQ誌に載せるなどして宣伝するのが良いがそんな勇気はない。
飛びのほうは・・計算では3エレと同等だが、正直わからない。瑞浪市の本陣山では多くの局と交信できたし1エリア固定局ともSSBで59/59でできているがこれはロケーションのおかげかもしれない。主にSOTAで今後も活躍してもらうつもりであった。
でもでも、エレメントを増やして高ゲイン化を目指したいという欲求は消えずチマチマとシミュレーションを繰り返す日々。最終的な目標は、現在の移動用主力機である6エレの代わりが務まるものであること。それには性能だけではなく移動先で安全速やかに組み立てられることが重要な課題であるのだ。
これまでの2/3λヘンテナやSKYDOORでは、ダイポール型パラスティックエレメントを増やすとゲインは増えるもののインピーダンスが下がりすぎてマッチング回路が必要になり、なんか面白くない。
と、ここでようやくヘンテナが登場するのである。長かった。
いや、この書き方は正確ではないか。
「ヘンテナベースなら多エレメントでもマッチングが容易であるという事実がわかった」のだ。
これは重要な発見である。
最初から知ってたわけではない。こんな経緯からである。
今年もSDYを持って山に登るつもりでいたのだが、もうちょっとゲインを稼げないものか?と考え、改めて基本形のヘンテナをベースにしてシミュレーションを始めた。
いや、ずっと以前にヘンテナベースはいろいろやってみたのだけど、給電部の構造がネックで放置していたのだ。今回それを度外視してシミュレーションをしてみたところ、ややインピーダンスが高いもののSDYよりもゲインの高いモデルができた。
さて、ここで「このタイプのアンテナは前例があるのか?」という疑問がまたしても頭をよぎる。これまでも何度もネット検索してきたのだけど出てこない。
それで、キーワードを変えてHENTENANA+reflectorで検索。
すると出てきた!
やっぱり海外の人も同じことしてる!こういう情報を待っていた。
見てみると、数値が微妙に違う。幅が狭いのだ。これがヒントになった。
インピーダンスを下げるにはループの外周を小さくすればよく、あとは給電エレメントをスライドさせればマッチングが取れる。これならエレメントが多くなっても行けそうだ。これは勇気が出てきた。
しかし、給電部がループの中にある構造はやはり問題。縦のエレメントがソリッドなパイプなら宙に浮く形でも強度的に問題ないけど、こちらは移動運用で使うからできるだけ軽くしたいし組み立ての面でも縦のエレメントはワイヤーにしたい。
そこで閃いたのが「逆さまヘンテナ」
三本の水平エレメントのうち、給電エレメントを最下部に持ってくることで、上部のエレメントをショートバーとするスタイルである。
今までたくさんヘンテナを作ってきたけどこのタイプは初めてである。
シミュレーションをして上記のリンクのタイプ(こちらで最適化)と比較したところ、面白いことがわかった。
・ブームがノーマルより長くなる:長くしないとインピーダンスが下がらない
・FB比が若干悪い
・SWRのバンド幅が広い
ここは製作しやすさと再現性の点で「逆さまヘンテナ」を採用!
この春から実戦配備をしている。
これも性能評価はよくわからないが、まあ使えているのではないかと。
さて、前述のとおり多エレメント化へと希望が出てきて計画は進行する。
しかしこの後の展開はまだまだ続くので次回・・・