*** 蜃 気 録 ***

無線局「JJ2AVH/ぎふBK44」の浮遊記録

二等三角点 有坂(ミヤコ)~荒山

先日、入り口だけ下見に行った山に、今日は歩いて登った。

目的地は、SOTA JA/GF-241 三角点有坂付近 830m。

 

8時50分、林道分岐から荒れた作業道に入り、スタート。

ヤブを我慢すればジムニーで行けるのでは、という淡い期待は次のカーブで崩れ去る。

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道が消滅している?そう、土砂崩れで消え去っているのだ。

これは単車でも無理でしょう。歩くしかないのだ。

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こんなヤバイ箇所がいくつかある。

しかし全体的には大型車でも通行できるよう道幅は広く作ってあり、日差しも届いていい感じ。

そうして1時間後、峠に至った。

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ここからは尾根伝いに歩く。道らしいものはないがなんとなく進む。

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10時10分、二等三角点「有坂」に到着。

実は標高830m地点はもう少し先にある。なのでSOTAの山岳リストでは「有坂(三角点近傍)」となっている。見に行ってみたがロケーションは変わらないので三角点前の大きな針葉樹の前にアンテナをセットした。

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ステー線を張るのを忘れたが、アンカーだけで問題なく立っているのでこのままにする。風もないし。

するとチョウが飛んできた。

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おおっ!ギフチョウではないですか!久しぶりに見た。

アゲハチョウとよく似たデザインだから目立つと思いきや、しっかり保護色になっている。よくできてるなー。

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本日のアイテム。リニアを使用して30W運用。中途半端なロケーションなのでQRPでは苦しいのじゃないかと。

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本日のお昼。冷凍チャーハンを自然解凍して袋の上からギュッと握っておにぎりにして食す。超ものぐさ。

 

約2時間運用して17局。(SSB 16+CW1)

1エリア平野部には飛んでいかなかった。

 

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撤収する。本日のパッキングはこんな感じ。

 

さて帰りだが、寄り道した。作業道の峠から分岐した南へ延びる道を歩き、横の尾根に取りついて770mのピークへ至った。

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大きな岩が3つほどある静かな山頂。

 

そう、これこそが!こここそが!

 

私の生まれた場所の、真上のてっぺんなのです。

 

平たく言えば、実家の裏山なのだ。

生きているうちに一度は来たかった場所なのです。

昔は麓から道がついていたはずで、多分30年前ぐらいまではあったかも。

一度、入り口を探したがイノシシに荒らされて道が消えてしまっていた。

山に人が入らなくなったせいだと思う。

この辺には実家が所有する山林があるはずで、父が生きている間に見ておかないといけなかったのだが、父はもういない。私は実家を出て相続を放棄しているから関係ないとはいえ、せめてどんな場所なのかぐらいは知りたかったのだ。

SOTAポイント稼ぎにかこつけて、この山に来ることができた。

今日は本当に良かった。

 

しばらく木々の間から景色を眺め、やけに感傷的になりつつ来た道を歩いて戻った。

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登山口では電波が拾えなかったので出発から記録できず、下山の様子を記録した・・・

のだが、あと少しでスマホの電源が落ちて変な場所でゴールとなっていたので細い水色の線で加筆した。

 

◎山の名前について

さて、今回の「二等三角点 有坂」だが、実は名前がある。

少なくとも実家周辺(亀尾島川流域)では「ミヤコ」と呼んでいた。

子供のころからそう聞いているし、多分このあたりで山仕事をする人なら今でもこの名は知っているはず。

名前の由来は、知りません。

 

一方でこの山は、ものの本では「荒倉の頭」として紹介されている。

この本の著者は、私は知りませんでしたが「ヤブ山歩きの第一人者」とされている方のようです。

以前知り合いが「これ、お前んちの裏山のことだろ?」と言ってこの本の記事のコピーを見せてくれた。記事では、「麓で住民に聞き取り調査をしたが、誰もこの山の名前を知らないので、便宜上”荒倉の頭”という名前をつけさせてもらった」といった意味のことが書いてあった。

随分かっこいい名前がついたもんだ、とは思ったが、「これは間違いだから正したい」とまでは思わず。日中は男衆は仕事に行っているから、山の事は詳しくない女子衆しかいなかったにちがいない、しょうがない。

それから10数年後、とあるサイトで再び「荒倉の頭」に遭遇する。

そのサイトは、美濃地方の山々に魅せられた管理人さんが、登った山の記録をまとめて公開しているもの。その中に「荒倉の頭」が登場していたのだ。管理人さんは上記の著者の方を尊敬されていて、その本の記述に沿ったものだった。(その時は、まだ管理人さんは登頂されていなかった)

だいぶ迷ってから、思い切ってメールで連絡をした。内容は、「荒倉の頭として紹介されている山には別の名前があります」というもの。

この管理人さんは「山と山名の同定」をとても大事にされている。必要とあらば役所の資料を調べるぐらいに。だからマイナーな山でも地元での名前があるのなら関心をもってもらえるだろうと思ったからだ。

すると「教えてくれてありがとう」といった返事があり、程なくして実際に登られた様子がサイトにアップされていた。

そして、「ミヤコというちょっと変わった名前が気に入った。私はミヤコと呼びたい」とあった。

 

いや~、「恐悦至極」ってこういう時に使う言葉なんだなぁ。

 

ちなみに、その管理人さんは2012年より前の記録を、当時使用していたサイトの閉鎖に伴って抹消している。現在見ることができる記事では、「過去に登ったことがある山」として地図に残っている。

 

もうひとつ、実家の裏山770mであるが、父が生きている時に聞いた名前は「荒山」だった。

後からよくよく考えると、登記上の地名に過ぎないかもしれない。

これについては有力な証言は無いので自信がない。

林業関係の仕事をしている人に見解を聞くと、「登記上の地名にそういう名前がついているならそれは山の名前」という返事。ちょっと安心。